マテリアリティについて

当社グループは、パーパスおよび事業戦略に沿った企業の中長期的な価値創造において、大きな影響を及ぼす重要課題であるマテリアリティを特定しました。

また特定した4つのマテリアリティに取り組みテーマを紐づけて、機会創出とリスクマネジメントの双方に取り組むことを重視し、下記構造化を行いました。

マテリアリティは二部構成となっており、「安全や安心を守る事業基盤」「透明性の高い組織」をビジネスの土台とし、「労働市場の持続可能性への貢献」「キャリア形成とライフプランの両立支援」に取り組むことで、価値創出を目指します。

マテリアリティの図
マテリアリティの図

マテリアリティアクションプラン

当社グループはマテリアリティに対して具体的に推進すべく、アクションプランを策定しています。2023年に目指す姿を掲げ、そこに近づくための具体的な取り組みと定量指標を明確にすることで、すべての従業員が主体的にマテリアリティに取り組むことを促すとともに、取り組みの進捗をステークホルダーに開示していく方針です。
定量指標については毎年度の実績を開示し、具体的な取り組みの進捗とあわせて状況をお伝えしていきます。

マテリアリティ 目指す姿(2030年目標) 具体的な取り組み 定量指標
価値の創出につながるマテリアリティ キャリア形成とウェルビーイングの支援 研修と教育を通じた人材開発 以下により、各人が自身のキャリアプランを描けている。
●十分なキャリア教育とキャリア相談
●キャリアの志向に合ったスキルを高める研修の持続的な提供
●個々の更なる成長への支援や機会の提供
●人材開発委員会の発足・運営
●階層とキャリアに合わせた研修制度の活用・整備
●技術・技能社員のレベルUPにつながる研修制度の活用・整備・拡充
●資格取得支援制度の活用・整備・拡充
●充実したキャリア面談とフォローの実施によるキャリアの伴走
●EXサーベイの該当項目(成長の機会、トレーニング等)の測定
●一人当たりの研修参加費用
●在籍時の資格取得数
●エンジニアサーベイ(研修満足度)の測定

※EXサーベイ(営業などオフィス就業の従業員エクスペリエンス...体験に関する調査)
やりがいにつながる仕事の提供 ●会社と個人双方が個々のキャリアを理解したうえで、多くの職種や選択肢(仕事)が提供でできており、その中から、各人が選択した、本人の志向するキャリアに即した仕事に従事できている。
●また適正な評価制度があり、適切にフィードバックされ、労働市場の価値にかなった処遇が提供されている。
定量目標:OPI達成(仕事との出会い50,000件、定着率85%以上、エンゲージメント1.2倍) (2025/6期までに)
●やりがいにつながる人事制度の確立
●社内公募・自発的異動制度の活用・整備
●十分(質と量)な選択肢(仕事)の提供
●キャリア志向に適った就業先の提供
●やりがいにつながる評価制度およびフィードバック内容&フローの整備
●技術力向上と連動した報酬の継続的引き上げ
●EXサーベイの該当項目(職務適性、明確な評価制度の有無、公正な評価・報酬等)の測定
●転籍数(技術・技能社員)
●エンジニアサーベイの該当項目(配属業務の満足度等)の測定
●OPI(仕事との出会い、定着率、エンゲージメント)

※EXサーベイ(営業などオフィス就業の従業員エクスペリエンス...体験に関する調査)
ワークライフバランスの推進 ●最高の(十分な)パフォーマンスを発揮できる、柔軟な働き方が可能な環境・制度が整っており、同様の企業風土が醸成されている。
●各人のワークライフバランスの希望に沿う働き方ができるよう、多くの選択肢(仕事)が提供できている。
●働き方の多様化推進、多様な選択肢(仕事)の獲得・提供(在宅勤務可、時間・場所を問わない形態、時短や週3日勤務など)
●育児休業取得の促進
●有給休暇取得の促進(顧客への働きかけ)
●意識改革と組織内対話の促進による企業風土の醸成
●月平均労働時間(残業時間)/年総労働時間
●有給休暇平均付与日数
●有給休暇平均取得日数
●育児休業取得率(男女)
●離職率
労働市場の持続的発展への貢献 ダイバーシティ&インクルージョンの推進 ●多様性(女性・シニア・若者・外国人・障がい者・LGBTQ)を認め、配慮した職場環境が提供され、同様の企業風土が醸成されている。また評価や処遇は多様性に左右されず、ダイバーシティに富んだ人材が活躍している。
●多様性を有する技術社員・技能社員が活躍できる選択肢(仕事)を労働市場に働きかけ、広げ続ける。
定量目標:女性管理職比率 連結ベース30% (2030/6期までに)
●採用時の男女比率標準化
●女性管理職の積極的登用
●多様性に配慮した環境整備の推進(PMS時の会社配慮の見直し、介護関連規程の見直し、定年延長、育児中の営業職の働き方等)
●属性に左右されない人事制度の確立
●アンコンシャスバイアスに気付く企業風土の醸成
●多様な人材が活躍できる選択肢(仕事)の獲得・提供
●女性管理職比率
●女性社員比率/人数
●シニア(60歳以上)比率/人数
●外国人比率/人数
●障がい者雇用比率/人数
●男女別賃金差異
社会との共生 ●OPGグループ単体はもちろん、外部団体・企業とも協働が推進され、社会との共生に向けて事業やパーパスに通じる社会貢献活動が行われている(OpenUp1%アクション)。
定量目標:カーボンニュートラル達成 (2030/6期までに)
●社会との共生に向けて事業やパーパスに通じる社会貢献活動を広げる ●温室効果ガス排出量(Scope 1, 2, 3)
●地域貢献、社会貢献に関連する支出額
ビジネスの土台となるマテリアリティ 安心や安全を守る事業基盤 労働安全衛生の徹底 ●健康経営が推進され、健康経営優良法人の認定取得・維持が推進されている。
●個人情報保護の取り組みが強化され、各人の理解が進み、実践できている。
●情報セキュリティマネジメントが構築されている。
●健康経営の認定取得・維持
●労働安全衛生の適切な管理
●安全衛生教育の実施
●健康経営認定社名の公表
●重篤な労働災害の発生数
情報セキュリティの確保とプライバシーの保護 ●P マーク(あるいは ISMS) 取得・維持
●研修orテスト実施(個人情報・顧客情報)
●情報セキュリティの内部監査
●情報セキュリティの外部監査
●Pマーク取得社名の公表
●重大な情報漏洩事案発生数
●個人情報管理等教育実施率
透明性の高い組織基盤 ガバナンスの強化 ●取締役会、報酬委員会、指名委員会、監査等委員会における社外取締役の過半維持
●適切なガバナンス体制を維持することで、変化の激しい事業環境を的確に捉え、意思決定と業務執行の迅速化を図るとともに、公正で透明性の高い経営が行われている。
●優良派遣事業者の認定取得・維持が推進されている。
●人権への取り組みが強化されるとともに各人の理解が進み、デューデリジェンス実施に向けての仕組みづくりが行われている。
●グループ全体で適切なリスクマネジメントが行われている。
定量目標:取締役会における女性取締役比率30%以上(常時)
●取締役会、報酬委員会、指名委員会、監査等委員会における社外取締役の過半維持
●取締役会における女性取締役比率30%以上維持
●グループ内各社における内部統制委員会の開催
●優良派遣事業認定社名の公表
●女性取締役比率
●社外取締役比率
コンプライアンスの遵守 ●人権デューデリジェンス実施に向けての仕組みづくり
●優良派遣事業者の取得・維持
●研修orテスト実施(人権)
●研修orテスト実施(ハラスメント)
●研修orテスト実施(贈収賄・汚職)
●グリーバンス利用件数
●ヘルプラインや社内相談等の利用件数 及び うち重大な内部告発数
●許認可にかかる重大な勧告数
●贈収賄、刑事告発、巨額の賠償訴訟数
●コンプライアンス教育実施率
●政治献金・ロビー活動に関する支出額
●贈収賄・腐敗の事案など発覚の有無
●反社会的勢力からの要求や利用等の発覚の有無
●インサイダー取引など発覚の有無
リスクマネジメントの徹底 ●サステナビリティ委員会によるリスクマネジメントの運用
●事業会社での内部統制会議の実施

特定プロセス

特定にあたっては、当社グループだけではなくステークホルダーの視点も重視しました。 以下のSTEP1~3のプロセスで、国内外フレームワークを参照した課題候補の選出から、経営層へのヒアリング、有識者とのダイアログや従業員サーベイなどを通じて課題の絞り込みを行いました。

特定プロセスの図
特定プロセスの図

STEP1: 課題候補のテーマ選出

持続的な成長を考える上で考慮すべき課題となり得る要素(候補テーマ)を、国際的なフレームワーク(GRIスタンダード、SASB、SDGs)をベースとして、主要なESG評価機関の調査項目および当社独自のパーパス等も考慮して17個の候補テーマを選出。


STEP2: 自社に影響が大きい課題への絞り込み

STEP1で選出された候補テーマについて、社内外のステークホルダーからの意見を基に評価し、自社に影響が大きい課題への絞り込みを実施。 社内においては経営層へのヒアリングや従業員サーベイを実施し、社外においては社外有識者とのダイアログを実施。
経営層ヒアリングは、代表者を含む常勤取締役に加え、持株会社の執行役員と主要なグループ会社の社長を対象に含め、事務局作成の候補テーマの中での重要度についてヒアリング。
また、社外有識者と、経営層ヒアリング同様に候補テーマの中での重要度についてダイアログを実施。
さらに、従業員サーベイでは、人事部による従業員サーベイ時に人材サービスの事業において重要と考える項目の調査を実施。
これらの結果から大きな課題となり得る事項の絞り込みを行いました。

有識者ダイアログによるコメント(一部抜粋)

マテリアリティ特定においては、ステークホルダーの代表として幅広い知見を持つ有識者とのダイアログを実施しました。 当社グループが社会において期待される役割や貢献すべき社会課題について、ご意見をいただきました。

埼玉工業大学 情報社会学科 教授 林信義氏

質と量に関する(パーパスに紐づく)扉があるとするならば、 「量」は雇用機会を幅広く提供していくことだと言える。 今の日本の労働市場では、女性の活躍以外にも、今後は高齢者や外国籍人材へも雇用機会を提供していくことが期待される。

一方、「質」は研修と教育から始まり、キャリア支援を受けながらキャリアパスを提示してもらうことで、それに合わせたステップアップをしていく。 その流れで従業員エンゲージメントが高まり、結果的に単価がアップし、利益の創出に繋がると考えられる。

林信義氏のインタビューシーン
林信義氏(写真左)
HRガバナンス・リーダーズ株式会社 パートナー 神山直樹氏

教育・研修の投資額や時間は KPI として示しやすく多くの企業が公表しているが、日本社会において仕事のやりがいが問われている今、そこだけで勝負するのではなく、オープンアップグループの特徴であるパーパスや<オープンアップ・パーパス・インデックス(OPI)>を打ち出した方が良いと思う。

イノベーションを生んだり地域を活性化させたりする時には、私企業一社でできることは限られてくる。社会に大きなインパクトを及ぼすために、パートナーシップによる事業の共創という点で、パートナリングを模索していくことは重要だと考える。

神山直樹氏のインタビューシーン
神山直樹氏(モニター越し)

マテリアリティマトリックス

マテリアリティ候補17個中、5個の課題(Tier1)が社内外の両方より重要度が高く、他3個(Tier2)が社内・社外のいずれか片方からの重要度が高い課題と評価されました。

マテリアリティマトリックス
社内幹部及びステークホルダーの重要度マトリックスの図
社内幹部及びステークホルダーの重要度マトリックスの図

以上のプロセスを通じ、重要度が高い候補テーマ最終版を抽出。
候補テーマ最終版については、記に分類。

重要度が高いマテリアリティ候補テーマ
最終版
Tier 1 No.3 労働安全衛生の徹底
No.5 ワークライフバランスの推進
No.7 やりがいにつながる仕事の提供
No.8 研修と教育を通じた人材開発
No.14 グループ経営でのガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンスの徹底
Tier 2 No.6 ダイバーシティ&インクルージョンの推進
No.10 情報セキュリティの確保とプライバシーの保護
No.11 社会との共生
Tier 1 自社(社内)、ステークホルダー(社外)の
"両方"から特に重要度が高いと評価(5テーマ)
Tier 2 自社(社内)、ステークホルダー(社外)の
"どちらか"から特に重要度が高いと評価(3テーマ)

STEP3: 課題候補のテーマ選出

抽出された優先度が高い候補テーマ最終版を基にマテリアリティの最終ドラフトを作成し、経営会議にてワークショップでの議論と設定、取締役会での確認を経て、特定しました。